株価暴落で資産が減った時の対処法!相場が下がっても積立投資を継続した方が良い理由
従来のNISA制度から大幅に改善されて使いやすくなった「新NISA」をきっかけに2024年から積立投資を始めた方も多いのではないでしょうか。日本証券業協会の調査 (2024年5月時点)によると、新NISAがスタートして4ヵ月の間に開設された新NISA口座数はなんと224万件 にのぼり、その中には投資に初めてチャレンジしたという人も少なくありません。
しかし、この記事の筆者であるファイナンシャルプランナー・鈴木さや子さんのもとには、「投資を始めてみたものの株式相場が下落すると資産が減って不安になる」というご相談が来るそうです。その時に鈴木さんがアドバイスするのは「何もせずにこのまま積立を続けることが大事」ということ。
本当に何もしないでいいの!?私も始めたばかりでわからないことだらけだけだから不安だなぁ…。
ふふふ、これには積立投資の仕組みにちゃんと理由があるニャ!今回は、下落相場で不安になってしまう方へなぜ何もしないのが良いのか、その理由を解説するニャン。
※本記事における「積立投資」は定期定額投資を指します
NISAについては知りたい方はコチラの記事もオススメです。
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・下落相場に直面したときは、「投資のタネの仕込みチャンス」と捉え、何もせずにそのまま積立を継続しよう。
・どうしても不安になった人は、投資資産が大きくなりすぎていないか、生活予備資金は準備できているかチェックしたり、株式だけに投資している人は、価格変動をマイルドにするために、債券も組み入れることを検討しよう。
目次)
1.下落相場時は不安になっても“何もしない”が最適!
1-1.下落相場時にやってはいけないNG行動
2.なぜ何もしなくて平気なのか?その理由は積立投資の仕組みにある
3.それでも不安!どうすればいい?
4.下落相場は投資のタネの仕込みチャンス!
1.下落相場時は不安になっても“何もしない”が最適!
株価が下がったというニュースを見ると、慌てて資産状況をチェックして不安になっていませんか?
投資には減るリスクがあるとわかっていても実際に減ると凹むもの。でも積立投資をしているのならば、いちいちチェックするのはNG行動の一つです。
えー!気になってついつい見ちゃってた…。
ここでは、下落相場時においてやってはいけないことを3つ教えるニャ!
下落相場時にやってはいけないNG行動
①保有する投資資産を売却する
市場が下落すると、持っている投資資産がさらに減ってしまうのではないかと怖くなり、売却したくなる人は多いでしょう。しかし、売ってしまえばその時点で運用をやめることとなり、将来的な市場回復の恩恵を受けることができなくなります。
②運用スタイルを頻繁に変更する
保有資産(株式や債券)を売買して配分変更する、これから積み立てる投資先を変更するなど、運用スタイルを頻繁に見直すこともNG行動の一つです。積み立ててきた資産を売ってしまえば前述したように、将来の市場回復の恩恵を受けられなくなります。
投資は、価格が低い時こそ買い時だから、投資先を変更することは、そのチャンスを放棄することにもつながるんだニャ!
③資産状況を日々チェックする
市場のニュースや日々の価格変動に一喜一憂することは、投資している人にとって大きなストレスとなり、NG行動をするなど間違った判断を招くきっかけになります。目の前の情報に振り回されずに、コツコツと積立を続けることが大切です。
でも資産が減っているのに、どうしてこのまま継続した方がいいの?
それは積立投資の仕組みに理由があるニャ♪
2.なぜ何もしなくて平気なのか?その理由は積立投資の仕組みにある
積立投資は、市場の下落時でも何もせずに続けることができる投資方法です。
その理由を知れば、どんな時も落ち着いて投資を続けられそうですよね。
なぜ、何もしなくて平気なのでしょうか。
積立投資は、価格が上がった時も下がった時も、同じ金額を定期的に積み立てる方法です。この方法の最大の利点は、価格が下落するほど多くの口数を買えること。
例えば、下図のように毎月1万円を投資する場合、1月の価格が10円の時は1,000口しか買えていませんが、9月の価格が2円の時は5,000口も買えています。その結果、1口あたりの平均購入価格が下がり、価格が回復した時に資産が増えるスピードが高まるのです。
投資開始後しばらくは下落し、その後上昇した場合について、具体的に計算してみるニャ!
この例では、投資を始めてから9ヵ月、価格が下落し続けており、投資合計額9万円に対して、9ヵ月経過時点の資産評価額は3万8,580円(1~9月の購入個数の合計1万9,290口×9月の価格2円)と大きく減ってしまっています。
その後上昇相場となり、12月の価格は、投資スタート時の半分ではありますが、1口あたり5円まで戻りました。資産評価額はどうなったでしょうか。
投資合計額:12万円
購入個数の合計:2万7,123口
12月の1口あたりの価格:5円
資産評価額:27,123口×5円=13万5,615円
12万円投資して、13万5,615円に増えてる!
価格は投資を始めた時の半分にしか戻ってはいないものの、投資合計額を資産評価額が上回っています。
これは、価格が下落した時にたくさん買えたから起こったことなんだニャ。
この仕組みは、身近な例えで言うと「バーゲンセール」のようなもの。
セール時にお気に入りの商品が安くなると、普段より多くの商品を購入できますよね。同様に、株価が下落している時期も投資を続けることでより多くの株を購入することができ、将来相場が上昇した時にリターンを大きくすることが可能となるのです。
このように同じ金額を定期的に投資し続けて、平均購入価格を下げる方法は「ドルコスト平均法」と呼ばれる手法です。価格の安い時にたくさん投資のタネを仕込み、価格が戻ったその時に仕込んだタネが花開く、そんなイメージを持つと株価が下がった時もワクワク続けられそうですね。
ドルコスト平均法についてはコチラの記事で詳しく解説してるニャ。
・初めての投資は何をするべき?オススメの投資と運用方法をFPがわかりやすく解説!
続けた方が良いのはわかったけれど、本当に例外とかはないのかな?
余裕資金で積み立てしている限りは、例外はないと言えるニャ
「こういう時は売った方が良い」という例外はなく、積立投資の場合はどんな時も続ける方が良いと筆者は考えています。市場のタイミングを予測することは非常に難しいため、一時的な感情で売却すると、抱えなくても良い損失を招いてしまう可能性もあります。
一方で、下落した時にもっと仕込もうと、積立とは別に追加で投資したくなる人もいます。しかし下落した価格がいつ戻るかは誰もわかりません。下落し続ければ、損失は増大し、ストレスも大きくなるのではないでしょうか。「今が底値」と強く思うのであれば追加投資をしても良いですが、あくまで余裕資金で行いましょう。
また、何もしないことが良いと書いたものの、年1回程度は資産状況をチェックすることも重要です。その理由は、下落相場から抜けて株価が上昇してくると、運用中の資産全体のバランスが当初の運用スタイルから離れていくから。
たとえば株と債券を50%ずつ投資するスタイルで積立投資をしていたけれど、株価上昇に伴って、資産全体の70%が株、30%が債券になってしまうと、想定よりリスクが高くなってしまっていますよね。
そんな時は、その後の積立投資先の配分割合を、株より債券を多くするなど、少しずつ目標比率に戻していくと良いでしょう。保有資産の売買をして調整する「リバランス」も良いですが、投資初心者には少々難易度が高いため、まずはその後の積立投資先から見直しましょう。
たまにSNSで「こんなに下落しているなら投資なんてやめた方がいい」って書いてあったりするんだけど…。
SNSの情報を気にする必要は全くないニャ。始めたばかりでわからないことがあると、身近なネットから情報収集する気持ちもわかるけど、何より積立投資の仕組みを理解して長く積立を続けていくことが大切なんだニャ。
3.それでも不安!どうすればいい?
続けることが大切だと理解していても、下落相場が続くと不安が募るのは仕方のないことです。しかし、積立投資を成功させるためには、長期的な視点を持ち積立を続けることが重要です。不安に感じた時は、どうすれば良いでしょうか。
まず、積立投資の目的を思い出してみてください。おそらくその目的は子どもの大学資金や老後資金など、10年以上など先におこるライフイベントにかかるお金ではないでしょうか。
積立投資は短期的に資産を増やすものではなく、長期的な資産形成を目指すもの。株式市場は、上がったり下がったりしながらも、長期的には成長する傾向があります。
下図は、積立投資を5年続けた時点での運用成果と、20年続けた時点での運用成果の比較です。
5年のデータでは、元本割れしているケースが発生しているけど、20年のデータでは全くなく、長期的に積立投資を続けた場合は元本割れリスクも下がることがデータからわかるニャ。
出典:金融庁「貯める・増やす」~資産形成」応用編
また、市場の歴史を振り返ると、株価が一時的に下がっていても、いつか必ず上昇する時期が来ています。例えば、リーマンショックやコロナショックのような大規模な下落がありましたが、その後の市場は回復し、さらに上昇しました。
下落時に驚いて積立投資をやめた人も多かったのですが、その時に投資を続けた人たちは安い価格でたくさんのタネを仕込めたため、資産を大きく成長させているのです。
上のグラフは、この20年間における世界株式の推移です。
2008年のリーマンショックで半分以下に大きく下落した世界株式市場でしたが、その後約5年で元の水準まで回復しました。同様に、記憶に新しい2020年のコロナショックでも市場は急激に下落しましたが、各国の経済対策やワクチンの普及もあり、あっという間に回復、その後もウクライナ侵攻時に下がったものの、主に米国を中心に株価上昇が続いています。
このように、短期的に見れば市場が下落し資産がマイナスとなることもありますが、マイナスの時期には終わりがあり、その後、下落以前の水準を超える成長をしていることがわかります。また、いつ下がるか、いつ上がるか誰にもわからないからこそ、定期的に同じ金額を積み立てる積立投資が有効なのですね。
とはいえ、理屈はわかってもやはり不安がぬぐえない方もいるでしょう。その場合は、ご自身の資産の置き場を今一度確認して、必要に応じて投資先を見直しましょう。
まず大切なのは、必要予備資金が十分にあるか確認すること。
必要予備資金とは、何か予期せぬ事態があっても、半年~1年間は生活できる費用のことで、いつでも引き出せる預貯金として持っておきます。生活予備資金があれば、もし投資がうまくいかなくても生活に大きな支障は及ばないため、投資していても市場の動きに敏感になって不安にならなくて済むでしょう。
・突然の収入減!まさかの事態に備える「生活防衛資金」はいくら必要?
・ほったらかしでお金が増える!?お金を貯めるには仕組み化が大事!
また、大暴落が怖い場合は、株式だけでなく債券など他の資産も組み合わせると良いでしょう。債券の値動きは株式に比べるとマイルドなので、組み合わせることで、株式だけに投資している場合に比べて、下落幅も小さくなる可能性が高くなります。ただし、株式市場が上昇した時は、株式だけに投資をするよりもリターンは小さいものになります。
投資のリスクとその対策についてはコチラの記事で詳しく解説してるニャ。
・リスクをコントロールして不安を軽減!投資を安心して始めよう
4.下落相場は投資のタネの仕込みチャンス!
積立投資の原則は、分散してコツコツ長く続けること。
下落相場に直面したときは、「投資のタネの仕込みチャンス」と捉え、何もせずにそのまま積立を続けていきましょう。
それでもどうしても不安になった人は、投資資産が大きくなりすぎていないか、生活予備資金は準備できているかチェック!株式だけに投資している人は、価格変動をマイルドにするために、債券も組み入れることを検討するのも良いですね。
積立投資の仕組みをしっかり理解することで不安が減ったよ!相場下落に直面しても、まずは落ち着いて様子を見ていこう。
分散してコツコツと長期で続ける投資という認識に加えて、なぜ積立投資を始めたのか、目的も思い出して継続してほしいニャ!わからないことがあればいつでもマネキンに聞いてニャン♪
じゃあ、マネキンの好きな食べ物って何?
やっぱりマグロ…って全然投資に関係ないニャ!
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株式会社ライフヴェーラ 代表取締役 みらい女性倶楽部 代表
ファイナンシャルプランナー(CFP)・1級FP技能士・DCプランナー1級・キャリアコンサルタント(国家資格)生活に役立つお金やキャリアの情報を、セミナーや企業研修、執筆にて発信。金融商品などを一切販売しないFPとして活動。専門は教育費・ライフプラン・マネー&キャリア教育・確定拠出年金。大学生2人の母。運営するみらい女性倶楽部では「今もみらいもワクワクに」を合言葉に、お金・ヒト・スキル・キャリア・笑顔、5つの資産を育てるための情報を発信中。
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